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【書籍紹介】でっちあげー福岡「殺人教師」事件の真相

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  • ノンフィクション作品において、「でっちあげ」という物々しいタイトルをつけたこの書籍に目を奪われ、早速購入。しかし福岡県は、事件の舞台としてよく登場しますね。北九州連続監禁殺害事件を筆頭に、常識では考えられない特異な事件が多いような気がします。この書籍の内容も、今まで生きてきた自分がどれだけ「井の中の蛙」かを認識できるものです。

    あらすじ

    2003年に担任の教師から壮絶ないじめをうけ、PTSDを患ったという小学生とその両親が、当該の教諭と福岡市を相手に法廷で闘うという、実際に起きた事件のルポライター。小学生は担任の教諭から「耳が引きちぎられる程」の虐待を受け、学生が「アメリカの血が混ざっている」ことを理由に理不尽な暴言を吐かれ、しまいには重度のPTSDを発症し日常生活が送れないほどの後遺症を患った。そんな、鬼畜のような所業を繰り返し行っていたとされる「殺人教師」とは、いったいどんな人物なのか?福田ますみ氏の取材により次第に明らかにされていく。

    レビュー(ネタばれあり)

    この書籍の内容は、タイトルそのものがズバリ表現している。結論として、この「殺人教師」との烙印を押された教諭は無実であった。実際に裁判の結果では、原告であるいじめ被害者側の主張はほぼ退けられ、福岡氏が下した懲戒処分もすべて取り消されている。

    しかし、読み進めるにおいて覚悟しなければならないのは、被告として祭り上げられてしまった教諭の優柔不断な対応である。毅然と対応していればこんなことにはならなかったかもしれないが、煮え切らない対応を取るたびに自分が窮地に追い込まれていく。その過程に悶々としたイライラが募り、「どうしてそうなった!?」という感覚が最後までぬぐい去れない。

    また、原告側のモンスターペアレンツ具合も甚だ不快である。何をもってしてそんな解釈になるのか?子供をだしにして戦うことに意味はあるのか?様々な思いが駆け巡り、いい気持になって読み進めることはできない。

    しかし、それは「普通」なのかもしれない。教師という立場で保護者から「いじめ」認定を実際にされたら、自分でもそうなってしまうかもしれないし、保護者として何か不穏な空気を感じたら突き進んでしまうかもしれない。そういった、お互いのボタンの掛け違いが大きくなり、最大500人もの大弁護団が結成される大きな事件となったのだろうか。

    この事件に登場する人物は、原告側である「モンスターペアレンツ」と被告を取り巻く「事なかれ主義者」という構図となっており、さらに覆いかぶさるようにして「マスコミ」が報道で煽り、結果として誰も幸福になどなっていない。冷静に場を静める「常識人」はいなかったのか?読み進めるにしたがい、そんな気持ちが大きくなっていく。

    著者である福田ますみ氏の取材内容に偏りがあるのでは?というレビューがアマゾンや楽天などでついているが、私はそうは思わない。もともと、保護者の間では「変な人」として認定されている親らしいので、発覚当時のマスコミよりも冷静に取材をしていると感じた。本当のことは当事者にしかわからないことであるが、裁判の結果や福岡市の懲戒処分取り消しが如実に物語っていると思う。

    こういった冤罪事件(とまではいかないかもしれないが)のルポを読むたびに、マスコミの役割とは何なのか?ということを思わざるを得ない。事件当初に報道をした当のマスコミは、ショッキングな内容だけ報道して視聴者の興味が薄くなれば、その後の追加取材など行わない。さらにいうと、マスコミにとって「真実」などどうでもいいというように思えてくる。視聴率や購読者の興味がひけて「売上・視聴率が上がれば」それでいいのだろう。

    報道とは、ジャーナリズムとは一体何なのだ。我々が見聞きする情報の多くはマスコミからである。情報を発信する側には「責任」というものはないのだろうか?情報はあくまでも「受信側が取捨選択」をしろということなのか?ますます、世にあふれる情報を鵜呑みにする危険性を実感した書籍である。

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