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【書籍紹介】創業社長死す

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  • 組織というものは生き物である。姿を変え、形を変え、その時々で様々な表情を見せる。だからこそ、組織作りというのは大変難しいし、一度出来上がった組織を変えるのは非常に労力を費やすこととなる。規模が小さな組織であれば良いが、しかし小さな組織の時代から大きな組織をイメージして組織を作らなければ、必ずひずみが生じ無理が産まれてくる。この小説はまさしくそういった現実的な組織をよく表している。そして、これが現実の社会であるということを痛感する。

    あらすじ

    東邦食品という大手食品会社を一代で築き上げた創業者「小林」は、その辣腕と行動力で組織の中で絶対的な権力を握っている。しかし、小林の死をきっかけに、この大きな組織が揺れ動き、さまざまなステークホルダの思惑が絡み合う狂騒劇が繰り広げられる。東邦食品は今後どのような企業となっていくのか、カリスマの死をきっかけに変わっていく組織を描くビジネス小説。

    レビュー(ネタばれあり)

    まず、登場人物の語り口が非常に「堅い」。作者である高杉良は、1939年産まれのビジネス小説の大ベテランである。故に、言葉使いが妙に堅くて、現代的な言葉とのかい離があり、すんなりと入ってこない。この書籍を読み進めていく際の最大の障壁は、この堅い言葉づかいであった。まぁ、平たく言えば、「今はこんな言葉で会話なんてしないよ」ということである。

    また、書籍のタイトルが「創業社長死す」という事で、創業社長が死んでからの物語が展開されるのかと思いきや、社長が死ぬのは物語の半分に差し掛かってからである。それまでは、創業社長の苦悩が描かれており、単調なイメージをぬぐい去ることが出来ない。さらに、カリスマの死をきっかけにさまざまな事件が巻き起こるわけでもなく、非常に「現実的な」展開が待っている。サスペンスのような起伏の激しい展開はなく、日常的な描写が淡々と続いていく。

    もっと言うと、社長の死後、東邦食品がどうなっていくのかという「結末」は記されていない。あくまでも大企業で働く人間たちの日々の情景描写で終了する。起承転結で言う「転結」がなかったので、「あっ、これで終わりなのね・・・」という読後感となった。

    このように書くと非常に面白くない小説のように感じてしまうが、自分の現実と照らし合わせるとそうでもない。要は、「エンターテイメント」としての小説と捉えるよりも、「より現実的な組織の描写」と捉えて読み進めれば、大いに参考になることが記載されている。よく考えれば、現実で「大逆転」や「リベンジ」なんて、そうそう起こりえないし、自分の立場を危うくしてまで巨悪に立ち向かうなんて、普通の人ならありえない。

    ビジネスマンとして、組織を動かす立場として読めれば、自分の立場に応用することのできる気付きがある。さすが、大ベテランの高杉良といったところか。ただ、ハリウッド的な勧善懲悪もないし、現代のビジネス小説の雄である池井戸潤のような大逆転もない。その点を踏まえた上で読まれることをお勧めする。

     

     

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