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【書籍紹介】○○○○○○○○殺人事件

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  • かなりの挑戦的な作品である。それは、「内容が」ということではなく、「作者が」ということ。ここまで読者に対して好戦的な小説は今まで読んだことがない。それは、書籍のタイトルにも表れている。また作中にも、いくつもの挑戦的な文言が含まれている。読者として応戦的に本を読んだのは初めてかもしれない。

    あらすじ

    アウトドアが趣味の公務員・沖は、ホームページで知り合った同じ趣味を持つ仲間と年に1度のオフ会に参加する。仲間の一人が所有する小笠原諸島の島の一つで、開放感に満ちたリゾートを満喫するつもりの沖らが直面したのは、無人島という大きな密室の中で起きた殺人事件であった。犯人は?どういった手順で?なぜ?ミステリーマニアを自負する沖が、事件解決へ向けて動き出す。

    レビュー(ネタばれあり)

    まず驚くのは、書籍の冒頭で著者である早坂吝氏が「この小説のタイトルを当ててみろ」と挑戦状を叩きつけてくることである。そして、早坂氏はこうも言う。「この作品のトリックは絶対に見破れない」と。

    結論から言おう。確かにトリックを見破ることは困難である。それは、複雑に絡み合う状況や難解なトリックがあるからではない。推理小説のトリックを暴いていく基本として、「さまざまな状況描写を詳細にすることで読者を結論に導いていく」という手法がある。しかし、この作品には状況描写が詳細ではないのである。

    書かれていないのではない。実は本書を読み終えてトリックがわかった時には「あれが伏線だったのか」と気付くのだ。しかし、その真相に迫るための状況描写が、あまり意味のない状況描写によって隠されている。だからこそ、核心に迫るために必要な情報を得た時に「はっ?それはわからんわ・・・」となるのである。

    犯人は誰であるかを推測するのは容易だろう。だが、それを確信に変えるための情報が足りないのである。早坂氏がここまで好戦的な意味がわかった。そりゃ、トリックの全容に迫るための最も重要な情報を緻密に隠していれば、読者がトリックを暴くことは不可能に近い。

    だからこそ早坂氏は「タイトル当て」を読者に提案したのであろう。しかし、読み進める中で「タイトル当て」などはどうでも良くなる。タイトルがわかったから何なのだ?と。それに、本書の内容に集中すればするほど、早坂氏のタイトル当てが億劫になる。内容に集中させろ、と。

    ある意味で、かなりの「アハ体験」をすることができる本書だが、一方で「それは卑怯だろ」という感情があるのも否めない。いつでも読者は受け身なのだ。作者の作ったストーリーを追っていき、作者の作った結論に追いつくしかないのだ。しかし、作者が作ったストーリーにおける「GPS」の精度が低ければ、読者はストーリーを追いかけることが出来ない。したがって結論にたどりつくことはできない。

    ただ、こういう感情を起こすことが早坂氏の目論見である気がしてならない。私の頭の中には「ほら、わからなかっただろ?リベンジに来てくれて構わんよ」と囁く早坂氏がいる。

    わかったよ、覚えていろよ。必ずリベンジするからな!

     

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